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産後の運動支援は産後女性を救う 「バランスボールはママを幸せにします」

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産後の運動支援は産後女性を救う 「バランスボールはママを幸せにします」

 

産後はホルモンバランスの変動や自律神経の乱れに加え、新たな生活や人間関係などの問題が母親に負担をかけたりと、精神的に不安定になりやすいと言われています。ココロとカラダは繋がっているため、一方に元気がなくなると、もう片方も調子を崩してしまい、心身ともに不調を抱えてしまう。そんなことも珍しくありません。

 

海外では、産前産後の運動の効果が多数示されており、運動療法は抑うつ状態の改善のみならず、気分全般や自律神経にも効果があることが報告されています。身体を動かすと気分がスッキリする。こういった経験は誰にでもあり、みなさんも感覚的に理解できることと思いますが、運動が精神面に良いという根拠はあるのでしょうか。

 

運動をすると元気がでるのは本当?

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以前より、「運動は有効なストレスケアの一つ」と言われており、運動に伴う気分の変化に関する研究は、米国を中心に1960年代から行われています。その結果、有酸素運動や筋トレは、緊張や疲れ、怒り、気力などのマイナスの精神状態に対してプラスの効果をもたらすことが分かっています。また、運動を定期的に行っている人は、気分の浮き沈みが少なくなり、プラスの気分を維持しやすく、将来に対する希望が持てたり、自分に自信が持てたり、考え方までも変わるようです。

 

では、なぜ運動すると気分が改善するのか?

 

そのメカニズムの一つとして、脳の前頭前野や海馬と呼ばれる部位の体積が増え、血流が増加し、BDNF(脳由来神経栄養因子)が増加することが注目されています。BDNFは名前の通り「神経の栄養」のようなものであり、この物質が多くなると脳の神経が活性化し、セロトニンやノルアドレナリンなどの分泌量が増えるため、気分の改善につながるというわけです。

 

産後にバランスボールエクササイズを推奨する理由

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バランスボールはリハビリから生まれた道具であり、目的に合わせて運動の種類や強度を選択・調整することによって幼児から高齢者まで幅広い対象に実施できる運動です。体力をつけるには有酸素運動をすることが必要ですが、産後に赤ちゃん連れでマラソン、エアロビなどは現実的に難しいのが本音です。 そこで、当協会では赤ちゃんを抱っこしたまま弾め、家の中で簡単に有酸素運動ができるバランスボールをおすすめしています。

 

座った状態で弾むことができるバランスボールは、全身の血行を促進でき、かつ骨盤周辺を支える股関節の筋力を同時に鍛えることできます。さらに、バランスを保ちながら姿勢保持をしなければならない特性から、抱っこやおんぶ、授乳を持続的かつ頻繁に行うために必要な身体中心部の軸を整えることに対しても有効であると言われています。

 

このように身体面に好影響を及ぼすバランスボールですが、近年では精神面にも有効性があることが示されています。

 

 バランスボールは産後女性の健康に貢献できるか?

寅嶋らは、長期にわたって産後女性に対しバランスボールを用いた運動講座を実践した結果、8割以上の参加者が「コンディションが良くなった」と回答し、具体的には「血のめぐりが良くなり、肩こりや腰の痛み、だるさなどが改善した」「頭がスッキリとし、もやもやしていた感情がどこかへ吹き飛んだ」などのプラスの効果を伝えています。特に、ここで注目したいことは、「この運動の実践によって、前向きな気持ちを生み出したり、子どもへの虐待に一歩踏み出しそうになった状況をストップさせることが可能になった」という精神面への影響です。

 

実際に、バランスボールエクササイズが及ぼす精神面への効果については、2014年に行われた財前らの研究によって、個別に10分間のバランスボールエクササイズを行った結果、抑うつ気分の改善が期待できたことが報告されています。また、高橋らの研究では、バランスボールと歩行の運動効果を比較すると、「バランスボールは歩行よりも運動強度は低いが、歩行よりも快適度や覚醒度を高め、気分の改善に効果がある」ことが示されています。

 

これらの結果からも、バランスボールエクササイズは、

① 身体の回復過程にある産後女性にとって安全なエクササイズである。

② 身体面と精神面の双方に好影響を及ぼす。

以上、2点のメリットがあり、産後のマイナートラブルや精神衛生面を向上させる上で重要な役割を果たすことが期待できるのではないでしょうか。

 

産後の運動支援は産後女性を救います

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先に紹介した寅嶋は、「母親ができる限りより良いコンディションを維持し、かつ笑顔で赤ちゃんと向き合うためにも、また精神的なイライラを子どもやパートナーへできる限り及ばせないためにも、【健康状態をより良い方向性に保つ、あるいは向上させる】ようなケアが受けられる場の確保が重要であり、多くの子育て支援機関等にこのような場を提示していくことが必要である」と述べています。

 

「運動科学が産後女性の心身のケアに踏み込んでいけるかもしれない」という、この興味深い可能性と重要性をしっかりと伝えていきたいものです。

 

さいごに

「産後うつは誰にでもおこりうる病気です。私がいままで出会った産後女性を見てみると、うつと診断されなくても、プチ産後うつのような、わけのわからない不安感ややる気のなさ、体のダルさはほとんどの方が感じているように思われます。完璧主義でしっかりもので責任感が強い人こそ、うつ症状をおこしやすいのです。産後のケアがしっかりなされていれば未然に防げたのにと、ほんとうに惜しく悔しい気持ちです。」

 

「産後の心と身体の不安定さって、ほとんど発信されていません。そこを真面目にポップに伝えていく使命があるんではないかと、わたしは感じています。」

 

「産後ケア。これがあればぜったいに世の中は良くなる。それは、わたし、ほんとに確信しているんです。女性が絶対必要なケア。こどもを産む母が自分のケアをできたら、こどもをしっかり育てられる。」

 

当協会は、このような代表理事の熱い思いとともに産後ケアの普及に情熱を注いできました。

 

今、ようやく政府は本格的に産後うつなどの「妊産婦自殺の対策」に乗り出すことを決め、妊産婦の支援が「自殺総合対策大綱」のなかに新たに盛り込まれることとなりました。産後うつは約10人に1人が経験すると言われています。深刻化していけば、虐待や育児放棄につながったり自殺を招いたりする恐れがあるため、可能な限り早く不調の兆しに気づくことが重要です。

 

なんかもやもやした気持ちがある、そんな不安定さを自覚している産後女性の皆さん。何も考えなくていいので、とにかく赤ちゃんと一緒にスタジオにきてください。

 

引用・参考資料

1) 財前美紀、小野久江(2015):抑うつ気分と自律神経活動に及ぼすバランスボールエクササイズの影響,関西学院大学心理科学研究,41,17-20.

2)産後女性の身体状況把握及び産後運動ケア実践の提案 hahalabo.net/kenkyuhoukokusyo2012.pdf

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