スタジオレイナパークコラム
バランスボールで脳活性!諦めないで!幾つになっても脳は進化します!!
ヒトの脳は、生まれてから死ぬまで絶えず変化を繰り返しています。赤ちゃん時代の未熟な脳は、幼少期・思春期を経て大きく発達し、その後はゆるやかな速度となって20代初期には完成します。
以前は、ある年齢に達するとヒトの脳は固まってしまい、その後は歳とともに退化していくシステムだと考えられてきました。しかし、近年の研究によって、語彙に関わる言語能力、パターン認識、感情の自己制御力など、脳の機能は成人以降も良くなっていくことが明らかになっています。
あなたが脳に求めていることは何ですか?
脳の健康について世間が話題を取り上げるとき、近年では「認知症にならないためには」という側面から語られることが多いですが、実際のところ、人々が脳を健やかにしたい理由は認知症予防のためだけとは限りません。
ある海外の調査で、「個人として、プロフェッショナルとして、21世紀に成長していくために重要な脳機能は何だと思うか?」という質問をしたところ、第1位から第3位までの回答は次のような結果であったと報告されています。
第1位:ストレスに満ちた状況をコントロールできる能力
第2位:気を散らす情報を回避できる能力
第3位:自分の感情の動きを認識してコントロールできること
脳の健康を問われたとき、単純に「顔や名前を思い出せること」といった回答を求めた人は少なく、多くの人が優先的に回答したのは「現在のキャリア」や「生活の改善」に焦点をあてたものでした。
「人はアルツハイマー病の予防のために脳の健康を求めているのではなく、現在や未来の生活の質を高めたいからこそ、脳の健康を求めている」という結果は、脳の健康を求める日々の実践を、より興味深いものへ変えていくことと思われます。
どうすれば脳は健康になるのか?
最近の科学では、脳を健康にするには、「適切な栄養素」、「脳を活性化する刺激」、「身体活動」、「ストレス緩和」を含む全方位からのアプローチが必要と言われています。
脳の健康を高めていくために脳を刺激していくことは必要不可欠です。そして、脳を刺激するうえで大切なポイントは「目新しさ」であり、「チャレンジすること」であり、そして「バライティの豊かさ」です。
中でも、脳の栄養であるグルコースと酸素をしっかりと届けることができる「身体活動」は、脳の健康度を高める重要な要素だと注目されています。しかし、ただ体を動かせばいいのでないのです。いかに刺激を与えていくか、その質がとても大切です。この刺激の質の重要性について、非常に面白い研究結果がありますので紹介します。
どんな身体活動が脳の健康を高めるのか?
2006年、カルフォルニア大学の研究者は、ピアノ演奏に必要な指の運びを被験者に教え、その時の脳の活性状態を記録するという研究を行いました。
その結果によると、被験者が鍵盤上での指の運びを学ぶ間は脳の運動野が激しく活動しているが、被験者が上手く弾けるようになると運動野の活動性が低下することが明らかになりました。
被験者の演奏が上達すると、「脳の神経細胞は激しく活動しなくなった」ことは驚きの結果であり、チャレンジの度合いを上げていくことが脳の健康度を高めていく重要な条件であることが示されました。つまり、「容易で、ルーティン化した活動」は脳への直接的な効果が乏しく、ただ単純に体を動かしただけでは大きな効果は期待できないというわけです。
バランスボールを用いた有酸素運動で脳活性は可能か?
新規性。多様性。チャレンジ性。これらに富んだ活動が脳の健康度を高めていくポイントであることは先に述べてきましたが、果たしてバランスボールを用いた有酸素運動は脳活性に効果があるのでしょうか?
今では多くの方が知っているバランスボール!
そもそも、このバランスボールはヨーロッパで神経系の障害をもつ子供たちのリハビリの道具として開発されたものであることをご存知でしょうか。
ゆらゆらと揺れるバランスボールの特性は、体のバランスを保つために、体内のあらゆる神経を活性化していきます。その際に大活躍するのが「小脳」です。小脳は、グラグラと体が不安定になると、姿勢を適切に保つように、大脳や脊髄と連携して活発に活動していきます。この小脳の働きによって、脳への血流が促され、脳の栄養となる酸素やグルコースがたくさん供給されます。こうしたメカニズムによって、バランスボールの不安定さは脳を活性化していきます。
さらに、バランスボールに座り、音楽に合わせて手足を動かしていく運動は、「複数の多様な課題」を脳へ与えることを可能にします。認知機能が低下すると、同時に複数の課題を処理することが極めて苦手になっていきます。この点からも、バランスを常に意識しながら随時手足の動作を要求するバランスボールエクササイズは、まさに脳活性に最適なツールであるというわけです。
現在、バランスボールは、高齢者の介護予防の分野だけでなく、オフィスや学習塾でも椅子の代わりに使用するなど、ますます注目度が高まっています。バランスボールは「筋トレ」だけでなく、「脳トレ」にも最適なツールなのです。
おわりに
「体力メンテナンスで、有酸素運動を行い、自律神経を整えます。すると短い時間でもしっかりと深い睡眠を取れるようになって、体や脳の疲れを取ることが可能となります。」
バランスボールを用いた有酸素運動は、脳神経の活性化だけでなく、深い睡眠を促すといった側面からも、脳の疲れをリセットし脳を最適化することに役立ちます。定期的に有酸素運動をしていくことは、脳に新鮮な酸素を送り、適度な疲労感を与え、心地よい眠りにつなげていくことが可能となります。こうして日々のストレスをリセットし、神経細胞を傷つけない工夫を生活の中に取り入れていくことも大切なことです。
生きている限り、あなたの脳は常に進化します。この脳の素晴らしい可能性に、あなたもバランスボールとともにチャレンジしていきませんか?
参考・引用図書
アルバロ・フェルナンデスら著:脳を最適化する ブレインフィットネス完全ガイド
こんな方におすすめです
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妊娠・出産による
体調不良にお悩みの方 -
筋肉ではなく
「体力」を鍛えたい方 -
最近なんだか
元気が出ない方